京都精華大学　国際文化学部 グローバルスタディーズ学科

フィールドワーク
滞在先一覧

グローバルスタディーズ学科では、短期フィールドワークは5か国から、長期フィールドワークは11か国からフィールドワーク滞在先を選ぶことができます

関連科目概要

• グローバルゼミ1年次1Qクオーター（*以下、クオーターはQと表示）

  グローバルスタディーズ学科での学びの基礎知識を身につけながら、1年次の2Qの海外短期フィールドワークの準備を行う科目です。少人数クラスを基本としますが、学科の学生全員との交流の機会もあります。後半は、海外短期フィールドワークの研修先についてそれぞれの担当教員が講義を行います。講義の内容や担当教員との対話を通じて、国や地域の特徴や海外短期フィールドワークについて理解を深めながら研修先を検討し、決定します。

  

• 海外短期フィールドワーク1年次2Q

  1年次の学期中に行われる8回の授業と、夏季休暇中に実施される実地研修から構成されます。学期中には研修先別に分かれ、それぞれの研修地について学びながら活動計画を立て、危機管理講習を受講して渡航に備えます。実地研修では、研修先の教員や本学の担当教員の指導のもと語学を中心に学びますが、文化を学んだりフィールドワークを行ったりすることもあります。また、現地の学生とも交流することができます。

  

• 地域学1/地域学22年次1Q / 2年次2Q

  3年次の1Qと2Qに実施する、海外長期フィールドワークでの研修先について学ぶ科目です。各研修先の担当教員が、国や地域の歴史、社会、文化などについて紹介します。それぞれの国や地域の特性を学ぶとともに、多様性を理解し、異なる価値観や世界観を客観視する視座を身につけます。1年次の海外短期フィールドワークの経験とこの授業の受講を通して海外長期フィールドワークについて検討し、2Qの最後に研修先を選びます。

  

• 現場学1/現場学22年次3Q / 2年次4Q

  3年次1Qと2Qに実施する海外長期フィールドワークの準備クラスで、基本的に研修先や地域別に進めていきます。前半は歴史や文化、政治・経済など基本的な知識を習得しながら個々の学修目標を立て、後半は担当教員や同じプログラムに参加する学生たちとの意見交換を通じて自分自身のフィールドワークの計画を立てます。また危機管理講習も受講します。最後に、「長期フィールドワーク報告会」で調査計画を発表します。

  

• 海外長期フィールドワーク1〜63年次1Q・2Q

  3年次1Qと2Qに海外で行う実地研修です。実地研修では拠点となる大学など派遣先機関で2〜4ヶ月程度の語学プログラムに参加して言語を学びながら、各自が設定したテーマに関するフィールドワークを行います（最長で6か月）。派遣先機関によるサポートと、週報やオンラインミーティングを通じた本学の担当教員との定期的なアドバイスを受けながら実施します。帰国後には最終報告書をまとめます。

  

• アカデミックスキル33年次3Q

  最終報告書に基づいて、3Qに開催されるフィールドワーク報告展に向け、海外フィールドワークの成果をまとめた展示物/発表物を制作します。また、報告展の運営（企画、準備、設営、当日の案内、撤収）に参加します。展示物や発表物の制作は個人もしくはグループで行い、形式（パネル、動画など）は学生同士や教員と相談して決定します。

2023年度 海外長期／短期
フィールドワーク履修案内（PDF）

授業の様子

グローバルスタディーズ学科の教員が、毎週交替で、様々な授業の様子を紹介します

教員による
研究紹介

グローバルスタディーズ学科の教員が、それぞれの研究内容をわかりやすく紹介します

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  磯辺 ゆかりいそべ ゆかり

  専門は応用言語学、第二言語習得です。人が第二言語を知覚、処理、記憶、学習する仕組みを研究しています。脳内の言語情報処理メカニズムを明らかにすることによって、より自然で効果的な学習法を考えていくことが可能になります。必要に応じて、さまざまな実験手法を用いて言葉の認知プロセスを測っていくのですが、心と言葉の関係がわずかな反応時間の差（1000分の１秒単位）から垣間見えることも面白さの一つです。現在は、絵本のスイミーのようにごく小さな単語が集まって大きな固りになった表現（定形表現：コロケーション、イディオム、句動詞、熟語フレーズなど）がじつは言葉を学ぶ上できわめて重要な役割を果たしていることを言語処理効率性という観点から検証しています。 心が紡ぎ出す言葉とその言葉を操る人々が創り出す生活や文化、歴史という観点も含めて、皆さんとともに普段何気なく使っていることばのあり方を考えて行きたいと思います。

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  写真：言語情報を処理している時の脳活動を測定する実験参加中。2011年11月撮影

  閉じる 稲賀 繁美

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  稲賀 繁美いなが しげみ

  文化相互の出会いから生まれる現象、例えば異なる言語の間の情報伝達や翻訳のさなかで発生する食い違いや誤解。そこから始めて、世界史規模の文明間の歴史的な交渉まで、焦点距離を自在に変えて研究中。誤訳や誤解も創造の源。これは藝術表現を世界史的なスパンで再考する課題に結びつきます。交易史では、梅棹忠夫の文明の「生態史観」に海上交易を上乗せした、川勝平太の「海洋史観」の裏側に「海賊史観」を提唱しています。

  地球表層を覆ったインターネット環境については、「蜘蛛の巣」の比喩を頼りに、捕食者と餌食という優劣関係を克服するモデルを構築しています。これを実際の「異文化」間の「相互理解」に当てはめて「メタバース」を解読すると？　従来の「学術的理解」そのものが、現在、大きな限界に直面しています。知識の伝達を超えた交換と相互交渉、心身の営みと実践が、不可欠です。

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  写真：「普遍の探究における誤解」移動国際学会。西安小雁塔の下で、唐代復元の楽曲演奏を聴く。樹木の前の巨漢は小説『薔薇の名』で有名なウンベルト・エーコ。
  1993年6月9日撮影。

  磯辺 ゆかり 閉じる 小川 仁

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  小川 仁おがわ ひとし

  16～17世紀における日本とイタリアの交流史を中心に研究を進めています。16～17世紀は、洋の東西を越えて、グローバルな規模でヒトとモノとの交流が活発になっていった時代です。日本では、1542年（諸説あり）に鉄砲が伝来し、1549年にイエズス会士のフランシスコ・ザビエルがキリスト教を日本に伝えて以降、ヨーロッパの様々な文物が入ってくるようになりました。その逆もまた然りで、日本の文化や風習、政治なども、当時のヨーロッパでは、数多くの書籍を通して紹介されていくことになります。

  イタリアのローマには、世界各地で布教活動を展開するイエズス会の本部が置かれてました。世界各地で布教活動するイエズス会士から本部に送られてくる報告集は、当時のヨーロッパの人々の想像を超えた異文化世界の情報に満ちており、ローマで出版され、ローマっ子の異文化に対する好奇心を満たしていたのでした。 私の研究対象は、このような世界の最新情報の集積地であったローマにおける、日本観の変遷がどのようなものだったかを解明していくことにあります。

  

  稲賀 繁美 閉じる 澤田 昌人

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  澤田 昌人さわだ まさと

  若い頃、カスタネダの『イクストランへの旅』という本を読んでこう考えました。遠い辺境まで行ってそこに住む人から、人生、生死について深い理解を得たい、と。そしてコンゴ民主共和国の辺境の地まで出かけました。そこで森を駆け抜け、歌うように会話し、歌い踊り、夢見に一喜一憂し、死んだ後は森の奥深くに暮らすことになる、と思っている人たちに出会ったのでした。そこでの驚きの一つ一つが研究のテーマとなりました。私は生死について別の見方を知ることになり、私の人生は動き出しました。

  その後何年かたって、現地滞在中に内戦が勃発し、家族ともども国外に逃れました。今でもテレビで避難民や難民の家族を見るたびに、自分の感じた底知れない無力感の何倍もの絶望に耐えている彼らの姿に身悶えするような感覚に陥ります。その時から私はこの国の現代史を学び始めたのです。大河のような時代の流れの行く末を見据えたいという思いがあります。

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  写真：1985年、アフリカ熱帯雨林に住むピグミーと暮らした時の様子（市販の白いテントが澤田のもの）。後に、木の枝葉でつくる同様の小屋を建ててもらって住むことにした。

  小川 仁 閉じる 清水 貴夫

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  清水 貴夫しみず たかお

  私の研究の目的はアフリカを包括的に捉え、「正しい」理解に近づけることです。ある事物の完全な「正しさ」、「正しい」姿を表現することは決して存在せず、様々な視点から描き出すことで「正しい」姿に近づいていくのではないか、というのが私の立場です。これまでに、子どもと社会問題、教育と宗教、砂漠化やサニテーションなど環境問題、食や住まいといった人びとの生活など、複数のテーマに取り組んできました。

  その過程で、この全てに通底するのが、アフリカでの事物であること、そして、アフリカを研究すると常に付きまとう「貧しさ」という先入観を一旦端において考えることであると気が付きました。また、一見バラバラなこれらのテーマが、互いに絡み合う形で関係しあっていること、アフリカで表出するこれらの問題が、決して「未開」だからそうなのではなく、合理的で有機的に関連しあっていることを、少しずつ理解できるようになってきました。

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  写真：ブルキナファソのローカルNGO（白いビブスを着用）と行ったストリート・チルドレン（背を向けている若者たち）の調査。2017年2月7日撮影。

  澤田 昌人 閉じる 白井 裕子

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  白井 裕子しらい ゆうこ

  東南アジアは発展途上で、さまざまな課題を抱えています。しかし、そこで生活する人たちは日常的に助け合いをしている心温かい人たちです。そんな彼らの暮らしぶりを見ていると、先進国の日本よりもずっと豊かに感じられます。しかし、近年人びとの暮らしが大きく変わろうとしています。そこでは一体どのような変化が起きているのか？そしてそのような変化を起こした原因は何なのか？それらを明らかにするために、地域に特有の文化や社会生活について文化人類学的な手法を用いて、その地域について地域の人たちと一緒に深く知ることから始めます。そして先進国地域と開発途上国地域の人びと、研究者と地域住民同士の「学びあい」を通じて、さまざまな隔たりを越えて助け合う「地域とネットワークづくり」や、そのシステムの構築に寄与できたらと考えています。現在は、ラオス、タイ、ミャンマーの国境地域において、共通の課題の把握と対応策について地域住民と一緒に考えています。更に、アジアやGlobal Southの国境地域とヨーロッパやアメリカなどのGlobal Northの国境地域との比較研究を国や分野の異なる人たちと一緒に進めています。

  

  写真：「一村一品プロジェクト」で成功したタイ東北部のピーナツ生産農家をラオスの人たちが現地訪問。農作物に付加価値をつける「ピーナツ・バー」の作り方をタイの農家から学ぶ様子。2009年11月18日撮影。

  清水 貴夫 閉じる 申 昌浩

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  申 昌浩しん ちゃんほう

  ここ数年「風俗史」を研究しています。それも、おもに「東アジアの近現代の風俗史」を中心にしています。これまでは「宗教学」「宗教社会学」をベースに研究をしていました。よく考えてみると、その「宗教学」「宗教社会学」も生活を中心とする習慣や習俗、とくに宗教的な年中行事に関心がありました。それぞれもテーマは常に人々の生活であり、その生活はさまざまな「風俗」に結びついていたのです。

  今は「日傘」に夢中になっています。朝鮮時代の女性たちはイスラームの女性のように顔を隠して外出をしていました。それも上着のような形をしている布を使っていました。近代期に入ると西洋から伝来してきた文物の中に「洋傘」がありました。朝鮮の女性の名からその「洋傘（ヤンサン＝양산）」を日傘として用いるようになりました。その「洋傘」は近代の女性を象徴するモダンガールの必需用品の一つとして流行するようになったことについて、研究をしています。

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  写真：国際日本文化研究センターのデータベース「朝鮮絵はがき」から［整理番号：37-1、和文タイトル：開城市街（朝鮮）、亜細亜写真大観社、亜細亜大観（朝鮮版）、1927～1928］

  清水 貴夫 閉じる 鈴木 赳生

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  鈴木 赳生すずき たけお

  「多様性」や「共生」が標語のように浸透する現代世界で、なぜいまも、人種・民族、ジェンダー、セクシュアリティなどさまざまな違いを理由とした差別や抑圧がつづくのでしょう。それは、優れた理念を徹底すればなくなるのでしょうか。あるいはそのような発想自体に、なにか落とし穴があるのでしょうか。

  こうした問いに向きあうため、わたし自身は、「多文化主義」という多様性や共生にかかわる思想について調べることから研究を始めました。その過程で、違いを理由とした差別や抑圧の問題を芯から捉えるには、いまの状況をみるだけでなく、それをうみだす社会の仕組みやいまに至る経緯を理解する必要があるとわかってきました。そこからは、多文化主義を国の方針として掲げてきたカナダへ、そこに生きる先住民の運動へ、と研究を進めていくのは自然な流れでした。先住民はまさに、多文化主義が植民地支配の歴史を顧みないことを問題として、自分たちを差別し抑圧する社会の仕組みに挑戦してきたからです。

  これまでカナダを調査地としてきましたが、そこで得た多文化や先住民運動というテーマ設定を手に、今後は他の地域へも研究を広げていこうと考えています。

  

  写真：カナダ北西部、Wedzin Kwah（モーリス川）。先住民ウェツーウェテンの活動家たちは、この川と土地を過剰開発から守るべく、非先住民とともに運動を展開する。2023年6月23日撮影。

  申 昌浩 閉じる ナン ミャ ケー
  カイン

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  ナン ミャ ケー カインなん みゃ けー かいん

  「開発経済学」という学問を聞いたことありますか？途上国が発展するため様々な開発政策を講じますが、日本をはじめとする先進諸国が実施してきた経済を中心とした政策だけではどうにもならない問題があります。例えば、貧困問題・経済格差問題・人権とビジネス問題などです。このように途上国が発展する過程で生じるその地域特有の問題を理解した上で、その国・地域らしい発展への道とはどんなものなのか、を探る学問です。この学問は本学で「グローバル関係概論」や「国際開発論」の授業で学ぶことができます。

  また、個人研究ではミャンマーの都市部の近郊にある工場団地で働く人々、路上で店を出している露天商の人々などを対象に調査し、地方から都市への労働移動を引き起こす要因を分析しました。最近は在日ミャンマー人のコミュニティーに関心を持っていて、当事者であるがゆえに見える問題と解決への糸口を見つけられるような研究を行っています。

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  写真：ミャンマーの首都ヤンゴンの露天商たちへの聞き取り調査。2003年9月撮影。

  鈴木 赳生 閉じる 藤枝 絢子

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  藤枝 絢子ふじえだ あやこ

  都市部はもとより離島村落においてもグローバル化の影響、著しい暮らしの変容が見られるなか、持続可能な社会、多様性のある発展とは何かを考えるようになりました。特に伝統的な住居やそれを取り巻く環境に関心を持っています。世界に目を向けるとさまざまな気候風土があり、それぞれの環境に適した地域固有の住居をかたちづくってきました。

  現在調査をおこなっているフィジーにはヴァレ・ヴァカヴィティ（もしくはブレ）、バヌアツのタンナ島にはニマラタンと呼ばれる伝統的な住居があります。人々は地域で入手できる草木を利用し協働で建設し、その形態や利用方法は、自然環境、生活様式、生業、慣習、信仰、家族形態に適したものとなっています。このような住居は、近代化や工業製品の流入によってただ減少の一途を辿ってしまうのでしょうか。長年の間に培われた知恵や技術、創造性の可能性を検証し、発展的な維持継承に寄与したいと考えています。

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  写真：フィジー共和国のナバラ村にて屋根葺き材の準備をする住民へのヒアリング。2018年3月16日撮影。

  ナン ミャ ケー
  カイン 閉じる 南 了太

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  南 了太みなみ りょうた

  異業種が行う「連携」(collaboration)現象について関心があります。人は他者との相互行為(interaction)を通じて互いに影響を及ぼし、社会を生み出します。そのような現象を研究者は科学的な視点から調査をし、記述し、これまで多数の研究を蓄積してきました。私は研究のみならず実践こそが必要だという考えのもと、産官学連携や地域連携を通じて「アクション・リサーチ」を行い、問題解決に努めてきました。

  実践→研究→実践の繰り返しは骨の折れるものですが、連携の場面で何の学問をどのように活用できるかについて考えることが私は好きです。例えば、産官学連携では理系の技術を活用し産業応用することが一般的な形態です。他方で、学問は理系のみならず人文・社会科学・芸術学など多岐に渡ります。技術が良くても需要がなければ絵に描いた餅になってしまうので、様々な視点を取り入れるために、私は特に人文・社会系起点の連携活動を行っています。

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  写真：連携を通じた実践型の授業では、双方向形式でワークショップやディスカッションを行い、答えのない内容を追究することに主眼をおいています。

  藤枝 絢子 閉じる 籔内 智

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  籔内 智やぶうち さとし

  ことばに関するさまざまな現象に関心があります。主な研究領域は、英語教育（言語習得）とことば学（音声学、心理言語学）です。具体的には、日本人英語学習者における語彙ネットワーク、日本人英語発話分析、オノマトペや音韻表象、統語構造や談話構造と韻律の関係、動詞の構造などの研究をしてきました。今最も関心のあるのは言語絶滅についてです。Ethnologueというウェブサイトによると、今地球上にある言語の数は7168で、そのうち40％以上の3045もの言語が絶滅の危機に瀕しています。言語絶滅の問題は、それほど大きな問題ではないと思っている人が意外と多いようです。グローバリズム志向にある世界では、言語の数が減少すれば、言語の統合が進み、コミュニケーションギャップや文化のギャップが緩和され、広く経済活動を推進するということで、人間にとって利益になるという考え方があるからです。しかし、言語は人類数百万年の知的営みの結晶ですので、ある言語が消滅することは、貴重な人類遺産の一つが永遠に失われることになります。言語が次々に絶滅していく状況になれば、私たちの文化や心性に対する認識が、その分だけ確実に失われます。そして、言語学は経験科学ですから、多くの言語から得られたデータと対峙することによって発展していくという特徴を持っています。言語絶滅により、データの質や量が貧弱になれば、言語学の発展にも赤信号が灯ってしまうのです。言語絶滅の問題を通して、言語の多様性や文化の多様性について一緒に考えてみませんか？

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  画像は以下のウェブサイトから転載しています。
  United Nations: International Mother Language Day, 21 February
  https://www.un.org/en/observances/mother-language-day
  （2023年5月1日最終アクセス）

  南 了太 閉じる 山田 小夜歌

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  山田 小夜歌やまだ さやか

  バレエを中心に広く舞踊やオペラ、演劇などの舞台芸術や劇場文化について研究しています。現代日本では、劇場やバレエ、オペラというと生活を彩る「ちょっと高級な娯楽」というイメージかもしれませんが、国や地域、また時代によっては、それらが政治的・外交的・社会的に大きな意味を帯び、市民生活とも無縁ではない文化的機能をもち得ることも事実です。

  今はバレエやオペラの日本移入に関わる事がらについて調査しています。近代的な劇場文化が本格的に日本に移入されたのは明治後期以降だと言われていますが、当時、誰が、なぜ、どのような経緯で日本へバレエやオペラを移入しようとしたのか。どこの国・地域からどのような作品が誰によって持ち込まれたのか。西欧式の舞台芸術は日本人の演者や観客にどのように受け入れられたのか。このような移入史を紐解いていくと、当時の日本の外交関係や文化政策の実情、国民の生活文化のありようも浮かび上がってきます。

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  写真：英国ロンドンの旧エンパイア劇場（現在は映画館／カジノ）。ミュージックホールとして栄えた当時の興行システムや作品群は、日本へのバレエ・オペラ移入にも影響を与えた。

  籔内 智 閉じる 阿毛 香絵

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  阿毛 香絵 (非常勤講師)あもう かえ

  西アフリカ、特にセネガルのイスラームと若者文化、教育と政治について研究しています。
  大学二年生で初めてセネガルに渡航してからアフリカの文化、宗教そして社会のもつエネルギーに常に魅せられてきました。

  学部時代はダカール大学に留学して社会学を学ぶと同時に、現地の宗教と都市の若者文化に興味をもって研究を進めました。 大学院では政策メディア学部で学んだ後フランス国立社会科学高等研究院（EHESS）で文化人類学を専攻し、セネガルでフィールド調査を続けると同時に、同大学の日仏財団で「アフリカ・アジア」プログラムの責任者を務めました。 日本や中国などの先進国や新興国とアフリカ諸国との関係や、アフリカの都市化と人々の生活の変容など、新たなテーマについて調査をしたことで、現代のアフリカの人々を取り巻く政治的・経済的な背景や、国際化が人々の暮らしに与える影響についても考察を深めました。 近年では、自らの専門である西アフリカとアジア地域との宗教性の比較や、日本の若いムスリムの生活、メディアやインターネットを使った新しい社会・政治の動きとの関連についても興味をもって調べています。

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  写真　セネガルのイスラーム教団、ムリッドの聖地でラマダーン時期に皆にふるまう食料を運ぶ信者たち(筆者撮影)。

  山田 小夜歌 閉じる 中尾 沙季子

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  中尾 沙季子 (非常勤講師)なかお さきこ

  アフリカ大陸、南北アメリカ大陸、カリブ海地域のアフリカ系といわれるひとびとが、自分たちのアイデンティティをどのように定義してきたのか、それは時代や地域、そのひとたちの社会的・政治的立場によってどのように変化してきたのか、ということを調べています。なかでも、自分たちのルーツを「アフリカ」に求めるパン・アフリカ主義運動がどのようにうまれ、発展していったのかに注目し、「アフリカ」という共同体への帰属が、独立国家、植民地、帝国といった枠組みとどのような関係にあったのかを分析してきました。

  また、最近はこれらのひとびとが「人種」という概念をどのように捉えていたのかにも関心があり、パン・アフリカ主義の思想に「人種」概念が取り入れられていく過程や、同時代に展開したパン・アジア主義との影響関係についても研究をしています。

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  写真：セネガル・ダカールにあるシェーク・アンタ・ジョップ大学図書館。ジョップは古代エジプト文明への黒人の貢献を証明し、アフリカの解放闘争において重要な役割を果たした人物である。

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